債務整理マガジン 　

受任通知とは

受任通知とは、借金に困っている人が任意整理を弁護士等の法律の専門家に依頼し、弁護士等がその依頼を受けたあと、貸金業者に発信する書面による通知です。

 

「今後一切の連絡は代理人弁護士を通じるよう」という内容ものであり、いくつかの重要な効果があります。

 

その中でも、債務者にとって一番重要な効果が、貸金業者がそれ以上債務者に対して直接取り立てをすることができなくなるというものです。

借金でお困りの方には、債務の取り立てに悩んでいる方も多いでしょう。

受任通知によって債務の取り立てから解放されるだけでも、かなりの安心を得ることができます。

 

なぜ、受任通知を出すと取り立てができなくなるの？

受任通知には、通常、「弁護士が債務整理を受任しましたので、今後は本人や保証人に請求はなさらず，当職宛にお願いします」という旨の文章を記載します。

 

しかし、この受任通知には、この文章による抑止以外に、もっと強力な法律上の効果があるのです。

 

貸金業法21条1項9号によれば、債務者が債務整理を弁護士や司法書士に委託し、弁護士等が貸金業者に通知をした場合、これ以降は、貸金業者は正当な理由なく債務者個人に直接債務の取り立てや催促ができなくなるとの規定があります。

 

つまり、受任通知後に取り立てをすると法律により処罰されるので、貸金業者の取り立てが止むのです。

まともな貸金業者であればもう取り立てをしてくることはないでしょう。

 

なおも連絡や取り立てをされたら？

受任から受任通知が届くまでにタイムラグがある場合、貸金業者から直接連絡が来ることがあります。その際は、以下の三つを伝え、それ以上は取り合わないようにします。

 

（１）弁護士等に債務整理を依頼したこと

（２）債権者と直接話をしないよう指示されていること

（３）連絡は依頼した弁護士等にしてほしいこと

 

受任通知が届いた後にも拘わらず、さらに連絡をしてくるような悪質な業者だった場合、すぐに受任してくれた弁護士や司法書士に相談しましょう。

 

受任通知を送ってもらう前に注意しておくことは？

受任通知が業者に届くと、取り立ての停止以外に、いくつかの社会的な効果が発生します。あらかじめその効果を理解し、注意しておきましょう。

 

・信用情報機関に登録される

受任通知を受け取った貸金業者は信用情報機関に事故情報として登録されます。

登録情報は全ての金融機関にデータベースで共有されます。この情報は、任意整理により整理した借金を完済してから5年間残ります。

 

・保証人に請求がいく

借金に保証人をつけていた場合、受任通知を受け取った貸金業者は、保証人に請求する可能性があります。

 

受任通知に、保証人に連絡しないよう記載するケースもあるようですが、債務者本人が返済できなくなった場合に保証人に代わりに請求することは、本来、貸金業者側の権利なので、これを止めることは難しいと考えていいでしょう。

 

そのため、保証人がいる場合には、受任通知を送る前に、弁護士等に頼んで債務整理をする旨を連絡しておくほうがいいでしょう。

 

・クレジットカードの引き落としはすぐには止まらない

クレジットカードの引き落としに関しては、翌々月くらいまでは口座振替が止まらないことがあります。

口座に預金があると、受任通知が届いた後でも引き落とされてしまうことがありますので、受任通知前に引き出しておきましょう。

 

・銀行口座が凍結される可能性がある

銀行のカードローンなど、銀行からの借金を任意整理する場合、その銀行に受任通知が届くと、預金口座が凍結されてしまうおそれがあります。凍結されてしまうと、以降引き出しができなくなります。

 

残高がある場合はあらかじめ引き出しておき、当該口座が給与などの振込先になっていた場合は、口座を変更しておくか、給与の支払い方法を変更しておきましょう。

 

・受任通知のみでは、強制執行手続きは止まらない

債権者からの申し立てで、給与差し押さえ等の強制執行手続きにまで話が進んでしまっている場合は、受任通知のみではこれを止めることができません。

裁判上の対応が必要になります。

 

受任通知を出す前の準備

・クレジットカードの返却準備

任意整理の対象となったクレジットカードやローンカード、ETCカードは使えなくなるので、受任通知と一緒にクレジット会社に返却しますので、所有するカードは弁護士に預けましょう。

 

・整理する業者のリストを作る

取引のあった貸金業者の住所と連絡先をリストにしておくと、弁護士が受任通知を送る際に調べる手間が省けるので、スムーズに送ることができます。

 

貸金業者の住所や連絡先は、業者のホームページを見るか、金融庁の「登録金融業者検索サービス（http://clearing.fsa.go.jp/kashikin/index.php）」で調べることができます。

 

取り立てを止めるのは任意整理の第一歩

受任通知が貸金業者に届けば、取り立てから解放されます。

しかし、受任通知はあくまで借金整理の第一歩です。ここから、落ちついて問題と向かい合い、解決していく過程が始まります。

借金問題の解決に向けて、専門家とよく話し合い、明るい未来への筋道を立てていきましょう。