過払い金請求を弁護士に依頼せずに自分で行う方法や手続きの流れについて解説します。過払い金請求は個人で行うことが可能ですが、事前に頭に入れておくべきポイントがあります。自分で行うメリット・デメリットや、注意点についてもまとめました。
目次
過払い金の請求には、まず計算して過払い金を算出する
過払い金請求を自分で行うためには、まず、「過払い金がいくらあるのか」を自分で計算して確定します。次に、貸金業者に過払い金を返してもらうように交渉するか、あるいは裁判を起こすという流れになります。
過払い金の計算、業者との交渉・裁判というと一般の人には難しそうなイメージがありますが、手順や注意点をあらかじめ知ったうえで行えば、すべて自分一人でも行うことができます。
過払い金請求を個人で行うための準備
過払い金請求手続きのためには、以下のものを準備しましょう。
(1)取引履歴
貸金業者に請求して取り寄せます。正確な過払い金の額を算出するのに必要です。
(2)Excel(エクセル)が使えるパソコン
過払い金の計算は無料のソフトが出回っていますが、エクセルを使っているため、エクセルが使用可能なパソコンを持っている必要があります。パソコンがあれば引き直し計算書や過払い金返還請求書、訴訟をする場合は訴状などのひな型もネットからダウンロードすることができます。
自分で過払い請求する手続きと流れ
(1) 消費者金融・クレジットカード会社などに取引履歴の取り寄せ依頼
消費者金融・クレジットカード会社など、過払い金が発生していると思われる業者に対し、「取引履歴を送ってほしい」と電話やFAX、店舗にて問い合わせます。詳しくは該当する業者のホームページで確認しましょう。貸金業者によっては1,000円程度の手数料がかかることがあります。
この際、「過払い金があるか確認したい」とは言わないほうが良いでしょう。のちに業者に「今まで支払っていた利息のことを過払い金だとわかっていたのだろう」と主張され、返還金を減額されたり、返金を断られたりする可能性があります。取引履歴請求の理由を聞かれたら、「今までの支払い情報を確認したい」などと答えるとよいでしょう。
(2) ネットの無料ツールから過払い金の計算を行う
インターネットで無料で入手できるソフトを使い、過払い金の計算の計算を行います。愛知県の弁護士を中心に設立された「名古屋消費者信用問題研究会」のサイトでは、エクセルを使った利息計算ソフトのほか、ソフトの使用方法も公開されています。
「名古屋消費者信用問題研究会(http://kabarai.net/index.html)」
取引日、借入額、返済額を入力することで過払い金額を算出できます。ここで出た金額が不正確ですと、業者に「金額が違うので返還することができない」といわれることがあります。そのため、入力時のミスにはよく気を付け、正確な金額を算出しましょう。
(3)貸金業者への請求
貸金業者に、内容証明郵便にて、「過払い金返還請求書」を送ります。内容証明郵便は文字数によって料金がかかりますが、業者が「郵便を受け取っていない」と主張することはできなくなりますので、必ず内容証明を利用しましょう。
過払い金請求書に厳格な書式はありませんが、一般的には以下の要素を記載します。
- 日付
- 貸金業者の企業名および代表名
- 自分の名前
- 住所
- 電話番号
- 利息の引き直し計算を行い、過払い金があることがわかったことと、その金額
「郵便局 内容証明(https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/index.html)」
(4)貸金業者との交渉
内容証明郵便にて請求を行うと業者から連絡が来ますが、ほとんどの場合、過払い金額を減額、またゼロにするように交渉を持ち掛けてきます。素直に全額支払ってくれることはあまりありません。毅然とした態度で自分の主張を伝えましょう。
特に、業者に対して現在借金がある場合、「借金をゼロにしますから和解をしませんか」と持ち掛けてくることがあります。この場合、実際の過払い金額は、借金を帳消しにしたうえでさらにお金が戻ってくるケースも多いです。業者有利の和解案に応じてしまわないように、手元に計算した過払い金の正確な額のメモを置きながら交渉しましょう。
(5)裁判
交渉がうまくいかず、和解できなかった場合は裁判することになります。裁判は法律家を通さずに一人でも可能ですが、訴状等の書類を準備し、裁判所に申立て手続きを行わなくてはなりません。
(6)返金
交渉による和解や、裁判による判決の後、業者が決まった額を返金してきます。返金のペースは相手の業者にもよりますが、多くのケースでは2か月以上かかります。
過払い金請求を自分で行うメリットとデメリットを解説
【メリット】
弁護士や司法書士などの専門家に払う費用が掛からない
過払い金請求を専門家に依頼すると、手数料を取られます。過払い金の総額が少ない場合は、かけた手間や弁護士費用の割に戻ってくる金額が少ない、というおそれがあります。自分でやれば最小限の費用で過払い金を取り戻せます。
【デメリット】
過払い金が戻ってこない可能性がある
貸金業者は法律知識のない一般人には強気の交渉をしてくることがあります。交渉のプロである彼らの雰囲気に押されて、あるいはうまく言いくるめられて、実際に請求可能な額よりも不当に安い金額で合意させられてしまうケースがあります。過去の借金の状況や、交渉過程の言動のあら探しをされ、事実上返済を拒まれる可能性もあります。
手続きに時間がかかる
取引履歴を業者から取り寄せる際、法律家が問い合わせて取り寄せるよりも時間がかかるケースがあります。これは、過払い金返還請求権の時効が迫っている場合は特に問題となります。また、過払い金の返還にも時間がかかります。
家族に借金の事実が分かってしまう
自分で書類を取り寄せたり、業者と交渉したりすると、業者からの電話や郵便等は全て自宅にかかってきます。家族に黙って借金をしていた場合は、家族に借金のことが知られてしまう可能性があります。この点、弁護士に依頼すれば、業者からの連絡は全て弁護士を通じてすることになるので、家族に知られることはありません。
自分で行う場合の注意点
(1)時効に注意する
自分で行う場合は、弁護士を通じる場合より時間がかかるケースが多いため、時効が迫っていると考えられる過払い金の場合は、弁護士を通じた交渉をお勧めします。
(2)古い取引や複雑な取引の引き直し計算
単純なお金の貸し借りであれば、一人でも引き直し計算は難しくありません。しかし、同一業者との取引が継続して長く続いており、古い履歴が取引履歴から削除されている場合は、過払い金を推測して計算する必要があります。
また、何度も借り入れと完済を繰り返している場合、複数取引の扱い方が時効に影響します。推測計算や複数取引の場合は、シンプルな計算ではなく、法律知識の必要な計算になりますので、専門家に依頼されることを強くお勧めします。
(3)借金を滞納していた場合、督促は止まらない
専門家に依頼すると借金滞納の督促はストップしますが、個人で過払い金請求を行う場合は、それまでの業者からの催促はストップしません。
過払い金請求は弁護士に~相談は無料
以上のように、過払い金を自分で取り戻すためには困難や注意点があります。払いすぎた利息を取り戻す可能性を上げるためにも、一度専門家へ相談をされてみることをお勧めします。近年は多くの法律事務所が無料相談を受け付けています。
専門家に相談された結果、「過払い金額が少額で割に合わない」「時効で完全に請求権が消滅している」などといった事情が分かれば、依頼をしなくても問題ありません。
弁護士法人東京ロータス法律事務所では、何度でも無料相談を受け付けています。過払い金請求を、当事務所を通じて行う場合、着手金は無料となっています。過去や現在の借金で気になる点があれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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