任意整理を弁護士事務所に依頼したいけど、事務所によってやりかたが全然違ったらどうしよう?
どこの事務所でも最低限行うポイントはあるの?
知っておけば安心、任意整理の統一基準について解説します。
目次
任意整理に基準はあるの?
任意整理は裁判所を通さないで行う、私的な債務整理方法です。つまり、当事者間の自由な契約で行われるものですから、どんな形で交渉するかは自由です。とはいえ、A弁護士事務所に依頼するのと、B弁護士事務所に依頼するのとで、交渉の結果が天と地ほど違ってしまうのでは、弁護士全体の信用に影響します。
もちろん、弁護士の交渉能力によって結果にある程度差が出るのは当然です。そのため、任意整理の際は弁護士事務所選びが大切となります。しかし、どんな事務所を選んでも、最低限このポイントはクリアしておくべきだという基準が設けられていて、弁護士の側も貸金業者の側もこの基準を参考にして交渉を進めていきます。
同様の基準は司法書士会にも設けられていますが、ここでは弁護士会の基準についてみていきましょう。
弁護士三会の統一基準
任意整理の件数は、年間数百万人とも言われています。これだけ多くの任意整理が行われているとなると、弁護士にもある程度、和解の目安となる統一基準が必要になります。
例えば、東京には「東京弁護士会」「第一東京弁護士会」「第二東京弁護士会」の三つの弁護士会があり、東京の弁護士はこのいずれかに属しています。これらをまとめて東京三会と呼んでいますが、この東京三会で定めている統一基準は、主に以下の三つです。
・最初から全ての取引履歴を開示するよう貸金業者に求める
・利息制限法に基づく引き直し計算を行い、正確な借金額を算出する
・和解案提示の際に、将来利息や遅延損害金のカットを求める
弁護士は、最低限これらの基準を満たせるよう貸金業者と交渉します。また、貸金業者の方も、任意とはいえ、ある程度は弁護士会の統一基準に沿った形で和解に応じることが一般的になっています。
全ての取引履歴の開示
利息制限法に基づく引き直し計算を行うためには、借主と貸主がいつ、金利何%で、いくらの額を貸し付ける契約を結んだのか、全ての取引経過を正確に知る必要があります。しかし借主は、繰り返しお金を借りるなどして、自分の借金の正確な履歴を把握できていない場合が多くあります。このため、弁護士はまず最初に、任意整理の対象となる貸金業者に初回からの全ての取引履歴を開示するように求めます。
かつては、この取引情報の開示を嫌がって、請求に応じない貸金業者がたくさんありました。正確な借金額が借主にわかってしまうと、引き直し計算をされて元本が減額されてしまうと思い、嫌ったのです。もっとも、現在では弁護士を通じて請求をすれば、基本的に業者は取引の開示請求に応じてくれます。
引き直し計算を行い、正確な借金額を算出する
貸金業者が取引履歴の開示請求に応じ、全ての取引履歴を明らかになると、弁護士はこれに基づいて利息制限法に基づく引き直し計算を行います。これにより、払いすぎた利息が発生していた場合,正確な債務額を確定します。
貸金業法改正されてから時間が経つため、過払金が発生しているケースは減ってきています。しかし、今でもまず全ての取引履歴の開示請求をしてから、引き直し計算を行うというのが、任意整理の基本的な手続きとなります。
和解案提示の際に、将来利息や遅延損害金のカットを求める
和解交渉の段階で、借金返済の滞納により生じた過去の遅延損害金と、現在の借金元本にかかる将来利息の二つを免除するよう貸金業者に求めます。利息制限法の利息は、かつて出資法が定めていた上限利息よりは低いとはいえ、15%から20%という高利の貸し付けを認めています。利息20%というと、支払総額の五分の一が利息に充てられてしまうということで、これがカットされるだけでも、借主とってはかなりの負担減となります。
その他、三会統一で定められた基準
・クレジットカードによるショッピングの債務にも利息制限法の利率を適用する
クレジットカードの機能のうち、キャッシング枠ではなく、ショッピング枠による借金は、厳密には借金ではなく立替金です。そのため利息制限法の適用外となりますが、クレジットカードの手数料には利息のような性質を持つものが含まれています。そのため、統一基準では、ショッピングの立替金に関しても手数料を差し引いた商品代金を元本として利息制限法所定の利率によって算出された元本額を超えないように求められています。
・保証会社からの求償債権には本来の貸金債権額まで減額する
場合によっては、借金の返済を債権者と同一系列の保証会社がいったん肩代わりし、保証会社から借主に請求するケースがあります。これを求償債権と言います。求償債権となった場合,本来の貸金債権額まで減額することとなっています。
腕の良い弁護士事務所を選ぼう
以上のように任意整理には統一基準が設けられていますが、弁護士の腕によって交渉結果が左右されることにはかわりありません。任意整理を多く受任し、任意整理を得意とする弁護士事務所を選び、納得のいく任意整理を行いましょう。
東京ロータス法律事務所は数多くの任意整理の案件を受任しています。借金にお困りの際は、是非、お気軽にご相談下さい。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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