ブラックリスト…!
恐ろしい響きですが、任意整理をすると何年間、これに登録されてしまうのでしょう?
受任通知の時から? それとも借金を完済してから?
そもそもブラックリストとは誰が集めている記録で、どんな情報が載っているのでしょうか?
目次
ブラックリストって何?
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報として登録され、一定の期間、ローンを組んだりクレジットカードを作ったり、お金を借りたりすることが制限されます。これを一般的に「ブラックリスト入り」などといいますが、「ブラックリスト」という名前のリストが存在するわけではありません。
事故情報が記録されている期間は、一般的には「任意整理をしてから5年間」などといわれています。しかし、この「5年」とは、具体的にはいつの時点からのことを指しているのでしょうか? 弁護士が受任通知を発してから5年でしょうか? それとも任意整理による借金を完済してから5年でしょうか?
いつの時点を開始点とするかで、下手をすれば5年近く、事故情報として記録されている期間が違ってきてしまいますよね。
結論から申しますと、事故情報の取り扱いは、信用情報機関によって異なるため、事故情報が記録されている期間もケースによって異なってきます。よって、最長で完済後5年間と考えるのが良いでしょう。
その前に、信用情報機関とは何かについてみていきましょう。
信用情報機関とは
信用情報機関とは、クレジットカード会社や貸金業者、銀行など、お金を貸す仕事をしている会社が、顧客の与信情報を共有するための機関で、現在日本には以下の三つが存在します。
・日本信用情報機構(JICC)(http://www.jicc.co.jp/)
・シー・アイ・シー(CIC)(http://www.cic.co.jp/)
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)(http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/)
このうちJICCは消費者金融系の信用機関、CICは信販カード会社系の信用機関、KSCは銀行系の信用機関です。
と言っても、「消費者金融ならJICCの情報しか参照しない」というわけではありません。実際にはほとんどの会社が二つ以上の信用機関に加盟しており、中には三つ全てに加盟している会社も多数あります。
信用情報機関の記録には、顧客の氏名住所、生年月日などのほか、「この人はいくらくらい借金をしているのか?」「遅延せずにちゃんと返しているか?」などといった情報が記載されています。
信用情報機関に事故情報が載ってしまうと、「ローンを組みたい」「新規でクレジットカードを作りたい」「消費者金融でお金を借りたい」などといったときに、申込を受けた会社は審査の際、信用情報機関の記録をチェックするので、まず審査を通る事はありません。
三つの信用情報機関の任意整理の取り扱いについて
・JICC
三つの信用情報機関のうち、任意整理をしたという事実が「事故情報」として登録されるのは、JICCだけです。そのタイミングは「弁護士からの受任通知が貸金業者に送付された時点」です。この記録は、通知をしたときから5年が経過すれば、まだ返済途中であっても消えます。
それまで全てのローンを滞りなく弁済を続けていて、消費者金融からの借金のみを任意整理する場合などは、このJICCの事故情報のみで済む場合もあります。しかし、多くの場合、それだけでは済まないようです。
・CIC
CICには、任意整理の事実そのものは事故情報として記載されることはありません。しかし、貸金業者との取引において、三ヶ月以上の遅延があった場合は、返済状況に「異動」という登録がされます(CICでは事故情報のことを異動といいます)。多くの借主は、任意整理の前に借金返済を遅延しているので、任意整理の前に、既に「異動」の登録がされている場合があるのです。「異動」の登録は、その対象となる貸金業者への支払が完済してから5年間残ります。
また、任意整理後に、合意に基づいて貸金業者に入金をした場合、貸金業者がその弁済を正常入金ではなく、利息のカットをしているため「一部入金」としてCICに登録することがあります。そうすると、信用記録上は「一部しか入金していない人」という記録が残ってしまい、全て弁済してから5年間待たないと記録が消えないケースがあります。
しばしば、「任意整理で借金を完済してから5年間経たないとブラックリストから外れない」といわれることがありますが、それには以上のような事情があるのです。
・KSC
KSCの場合も、任意整理の事実そのものは登録されません。しかし、CICと同様、銀行のカードローンの支払に遅延があった場合は、その事実が記録されます。この記録も、遅延が解消した日から5年間保有されます。
また、銀行のローンを任意整理の対象とした場合、銀行は借主と直接交渉したりはせず、保証会社に依頼して、保証会社に借金の残額を一括返済してもらい、その後の借主との交渉は保証会社に任せます。このように保証会社に支払ってもらうことを代位弁済といい、この代位弁済をしたという記録は事故情報の一つとなります。この代位弁済の記録も、代位弁済がされた日から5年間残ります。
任意整理の事故情報は共有されるのか?
三つの信用情報機関は、CRINというネットワークで交流し、互いの事故情報を交換しています。この交換対象の情報にJICCの任意整理が含まれるのかは、公的に開示されていないので定かではありません。ただ、遅延の情報は間違いなく交換対象になっています。
完済から5年間の間、登録を覚悟しよう
以上をまとめてみましょう。
いかなる場合であっても、貸金業者への弁済を終えてから5年間、事故記録が消えないと思った方がいいでしょう。
ご参考になりましたでしょうか?
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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