裁判所を通じて自己破産や個人再生の手続きをする人は、だいたいいくらくらいの借金を抱えているのでしょうか? データをひも解くと、債務整理をする人の負債状況は実に様々であることが見えてきました。
債務整理する人が最も多いのは負債額1000万円~4999万円
インターネット上で借金に関する相談などを見ていると、借金に困っている人の相談に対し「120万円くらいの負債では自己破産するのはもったいないですよ」などといったコメントを見かけることがあります。自己破産や個人再生といった債務整理を行う際に、負債額に目安はあるのでしょうか?
まずは、2014年に、実際に自己破産や個人再生の手続きをした人のデータから、負債額がどの程度であったかをみていきましょう。
自己破産・個人再生ともに負債額1000万円~4999万円が最も多いという結果になりました。自己破産では29.60%と約3割を占め、個人再生の場合は48.74%と、全体の半分近くにもなります。やはり、借金が1000万円を超えるというのは、心理的にも経済的にも大きな負担になり、債務整理を真剣に考えることになるのでしょう。
負債額300万円未満で債務整理する人の割合は?
注目すべきは次のデータです。自己破産で多い負債額の第2位は100万円~199万円で14.60%、第3位は200万円~299万円で11.53%となっています。負債額が100万円未満で自己破産した人も6.61%存在します。合計すると、全体の3割超、32.74%もの人が、負債額300万円未満で自己破産をしているということになります。
一方、個人再生においては、2番目に多い負債額は700万円~999万円で、全体を見ても300万円を超える負債を抱えている人が大多数です。とはいえ、全体の9.59%、約1割の人が負債額300万円未満で個人再生を行っています。
借金の返済能力は、その人の収入や年齢、おかれている状況によって変わってきます。「負債額120万円では少ないから自己破産には向かない」ということは一概に言えず、個々の具体的な状況に応じ、最適な債務整理方法を選ぶことが大切です。
負債総額5000万円以上を超えて債務整理するケース
自己破産・個人再生とも最多である負債額1000万円~4999万円を超えると、債務整理の件数はぐっと少なくなります。自己破産における負債額5000万円超の割合は8.62%となっています。
個人再生においては、本来、再生手続開始時点の再生債権(減額の対象となる借金)の額が5000万円を超えると手続きができないのですが、集計上は2.4%の人が負債5000万円超となっています。
これは、
- 住宅ローンは再生債権に含まれない
- 担保付き債権や罰金などは再生債権に含まれない
といった事情から、住宅ローンを含めた負債額が5000万円を超えていても、再生債権の額が5000万円以下のため申請が可能であったケースと考えられます。(民事再生法第221条)
そのため、計算上の負債総額が5000万円を超えていても、自己破産をせずに個人再生を行って、ローンつきのマイホームを守れる可能性があります。諦めずに専門家にご相談ください。
■借金問題の相談は借金問題のプロにご相談を
以上のように、借金の支払い能力や借金の状況は人によって異なるため、その人にとって最適な債務整理方法を知るためには、弁護士や司法書士などの専門家の診断が必要になります。
もちろん、弁護士や司法書士であれば誰でもいいというわけではありません。病気にかかった場合は、その病気の専門医の診療を受けた方がいいように、借金問題で困ったら、債務整理の経験を積んだ、借金問題を得意とする専門家に相談するのが最善の方法です。
また、専門家には守秘義務がありますので、相談内容が外に漏れることはありません。問題が深刻化する前に、お早めの相談をおすすめします。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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