債務整理マガジン 　

任意整理なら住宅や車のローンを残せる！

自宅を購入するのは大きな決断です。生活の本拠としている自宅ですから、借金に困っていても、できるだけ手放したくないものです。車も、仕事上必要であったり、車がないと生活がままならないような事情がある場合、手放さずに何とか借金を整理したいですね。

債務整理をする場合、大きな問題となるのが、このような手放したくない財産のあるケースです。

個人再生、自己破産といった選択肢をとる場合、債務整理は裁判所を通して行われることになります。

裁判所には、「債権者平等の原則」というルールがあり、債務者が借金をしている全ての債権者に通知がいくことになります。

裁判所を通じた手続きの場合、債権者全てが対象となるため、住宅ローンや車のローンを維持しながら借金整理を行うのは難しくなります。

 

※個人再生について

個人再生の「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンを残したまま住宅ローン以外の債務を減額できます。

ただし、車のローンは個人再生では残すことはできません。

これに対し、任意整理は裁判所を通さないで行う私的な手続きですので、整理する借金を選ぶことが可能です。住宅ローンや車のローンは任意整理の整理対象としないことができるのです。

 

住宅ローンを任意整理しようとするとどうなるの？

住宅ローンの場合、購入した不動産には通常、抵当権が設定されています。

抵当権とは、住宅を購入する際、債権者(銀行など)が購入する不動産の土地や建物を借金の担保として確保しておく権利のことです。抵当権がついていると、住宅ローンの支払いができなくなったときに、債権者が抵当権を実行することができます。

「抵当権の実行」とは、簡単に言うと、競売にかけて住宅などの不動産を売却し、それによる売却代金を住宅ローンの残債務にあてることです。

住宅ローンを任意整理しようとすると、債権者(銀行など)から抵当権を実行されてしまうおそれがあります。そうなれば、当然、住宅は手放さなくてはなりません。

 

車のローンを任意整理しようとするとどうなるの？

車のローンを整理対象にした場合、ローンの契約には通常、「所有権留保」という項目があります。

所有権留保とは、車などの動産について、借金を担保するための手段の一つです。ローン中の車の所有権を、代金が完済されるまで、売り主に留保しておくという制度です。つまり、ローンを完済するまでは車は買った人のものではなく、売った人の持ち物ということです。通常の場合、所有権はローン会社やディーラーが持っています。

車のローンを任意整理しようとすると、ローン会社やディーラーが所有権留保に基づき、担保として車を引き上げてしまうおそれがあります。そうなれば、ローン中の車を守ることは難しいのです。

 

任意整理中に住宅や車のローンは組めるの？

任意整理をする旨の通知が貸金業者などになされると、信用情報機関に事故情報として掲載されてしまいます。5年間は載ってしまうので、この期間に住宅や車のローンを組むことは難しいでしょう。

任意整理の事実が信用情報から消えた後にローンの審査を申請すれば、ローンを組める可能性があります。

信用情報については、信用情報機関に問い合わせることでご自身の情報を確認することができます。現在、日本には三つの信用情報機関がありますが、事故情報はネットワークを通じて相互に利用できるとされています。三つの機関のうちCICはネットでも信用情報の開示請求を受け付けています。詳しくは各ホームページをご覧下さい。

 

・日本信用情報機構(http://www.jicc.co.jp/)

・CIC(http://www.cic.co.jp/index.html)

・全国銀行個人信用情報センター(http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/)

 

任意整理の注意点

任意整理で整理できる借金は多くの場合、利息のカットなど一部債務の免除にとどまります。住宅ローンや車のローンをと併せながら支払いを続ける場合、任意整理をしても経済的に毎月の返済が厳しくなってしまうケースも考えられます。

弁護士とよく相談して、ご自身の返済能力で毎月支払い続けることができる返済計画を練りましょう。その際大切なのは、一部債務を整理したいというご希望であっても、弁護士にはご自身の全ての借金について包み隠さず打ち明けることです。それによって初めて、現実的に返済可能なプランを立てることができます。

また、「社会的にデメリットの少ない任意整理で何とかしたいけど、返済が厳しくて任意整理では難しいかも…」とお考えの場合も、まずは弁護士にご相談下さい。例えば、過去に消費者金融に過払い利息を長期間支払っていた場合など、任意整理でも借金を大幅に減らすことのできるケースもあります。