経済的に苦しい学生の学業を応援してくれる強い味方「奨学金」。ところが、日本の奨学金の多くが返済義務のある「借金」です。
奨学金が払えない場合、任意整理はできるのでしょうか?
任意整理すると奨学金の返済額はどう変化するのでしょうか?
日本の奨学金制度について
今や、誰もが大学を目指す時代。しかし一方で、経済的に苦しい家庭も多く、大学生の奨学金受給率は5割を超えています。日本でも最もポピュラーなのは「日本学生支援機構(http://www.jasso.go.jp/)」の奨学金ですが、他にも様々な企業や団体で行われています。
「日本学生支援機構」の奨学金は、成績優秀で経済的に特に困難な人に支給される「第一種奨学金」と、多くの学生が利用可能な「第二種奨学金」に大別されます。「第一種奨学金」は無利息、「第二種奨学金」は利息がつき、いずれにせよ返済しなければならない「借金」です。
「第二種奨学金」は利息があるといっても、在学中は無利息で、卒業後は年利3%が利息の上限となっています。これは通常の消費者金融などの借金からみると、かなりの低金利です。そのため、経済的に苦しい状態で学校への進学を目指すのであれば、奨学金はぜひ利用したい制度です。
奨学金のデメリット
便利な奨学金ですが、デメリットもあります。「マイナビスチューデント」のアンケート(https://gakumado.mynavi.jp/freshers/articles/11643)によれば、返済義務のある奨学金を受け取って社会人になった人の平均返済金額は324万円、完済予定期間は約18年だそうです。返済がこれだけの長期に及べば、失業や病気などにより返済ができなくなるリスクも増大します。
奨学金の返済が困難になったら?
日本学生支援機構の奨学金の場合、返還が困難な際に利用できる制度があります。「返還の猶予・減額・免除(http://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/index.html)」の制度です。ただし、こうした制度は適用条件が厳しいことに加え、適用されて当然と考えられるような状況でも、認められないケースが多々あります。
申請の際不当な扱いを受けたら、「奨学金問題対策全国会議(http://syogakukin.zenkokukaigi.net/)」に相談されることをおススメします。これは法律家による奨学金問題に取り組む全国組織です。奨学金に関する悩みなら何でも相談にのってもらえ、相談は無料です。
減額制度が適用されれば借金が減るの?
「減額」とありますが、実際は一定の期間、1回当たりの当初割賦金を2分の1に減額することで返還しやすくするという制度です。その分返還期間は長くなります。返済予定総額が減額されることはありません。また、返済を延滞している場合は減額制度の適用を願い出ることはできません。
奨学金の返済を遅延すると……
「日本学生支援機構」は「全国銀行個人信用情報センター (http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/)」という信用情報機関に登録しています。奨学金の返済が3か月以上遅延した場合、信用情報機関に遅滞情報が事故情報として残ってしまいます。そのため、クレジットカードの審査が通らなくなったり、ローンが組めなくなる可能性が高くなります。
奨学金を任意整理した場合
日本学生支援機構の奨学金の場合、普通の金融業者のような任意整理は難しいと言われています。また、奨学金を借りる際には、親などの家族・親族が連帯保証人になる場合がほとんどです。奨学金を任意整理や自己破産などの債務整理の対象とすると、支払い請求が連帯保証人に行ってしまうことが多いです。保証人となった人に迷惑をかけたくない場合、奨学金は利率が通常の借金に比べて低いことから、奨学金を任意整理の対象から外し、今まで通り支払いを続けた方がいいかもしれません。
まとめ
奨学金は利率が低い分、任意整理が難しい面があります。奨学金を任意整理したい場合は、任意整理の案件を数多く扱っている弁護士に相談してアドバイスを求めるのが得策です。一人で抱え込まずに専門家に相談しましょう。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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