債務整理マガジン 　

 

任意整理に向いたケースとは

任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せずに、私的に債権者（借金の貸主）と交渉して債務（借金）を整理する方法です。

 

任意整理の場合、「もう経済的に完全に破たんしてしまっている！　破産するしかない…」という場合には向いていません。

「払えなくはないけれど、返済が厳しくて、このままでは自転車操業になってしまう」

という場合などに向いています。

安定した収入があることが前提になりますが，利息のカットや分割回数について交渉し，収入から必要な生活費を差し引いた金額（可処分所得）の中で返済が可能かどうかがポイントです。

債務整理には、任意整理と自己破産以外にも手段があり、債務者（借主）にとってどの手段が最適かは、個別のケースによって異なってきます。

詳しくは、一度電話などで法律家に相談するのがよいでしょう。

 

任意整理をすると借金の元本は減るの？

任意整理は裁判所を通さないため、特定の債権者のみを相手とすることも可能です。

社会的なデメリットが少なく、手続きも比較的簡単で敷居の低い債務整理といえます。

ただし，収入から必要な生活費を差し引いた金額（可処分所得）の範囲内で債権者の和解金の支払いが出来なければ，任意整理の手続きはできません。

任意整理では、原則として、借金の元本そのものは減額されないものと思ってください。100万円を消費者金融から借りた場合は、その100万円の債務自体は免除されず、返済しなければなりません。

 

では、任意整理ってなにがメリットなの？

「えっ、100万円借りて100万円返さないといけないなら、任意整理する意味ってあるの？」とお考えの方もいるでしょう。

 

確かに、無利息で友達から100万借りたのであれば、法律家を通してまで任意整理をする意味は少ないかもしれません。しかし、消費者金融やクレジットカードなどで借金をしたのであれば、任意整理するメリットはいくつもあります。

 

主なメリットの一つが、任意整理では将来利息や経過利息がカットできる可能性が高いということです。

 

任意整理では将来の利息負担をカットできる！

任意整理では、将来の利息負担について免除してもらう方向性で交渉を進めるケースが多くあります。

 

消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどは、多くの場合、利息制限法の上限金利の15～20％でお金を貸し付けています。返済額の五分の一程度を利息で取られる、ということですから、借主にとっては、精神的・経済的にかなりの負担となります。

 

返済する際は、毎月少しずつ返していくことが基本となりますので、将来の利息をカットするというだけでも、借主の負担をかなり減らすことができます。

実質的な返済額を考えれば、借金の五分の一程度を減額できるのと同等の効果です。

相手方の貸金業者も、借主が自己破産してしまうよりは、利息免除の方がマシだと考えることが多いので、交渉次第で利息の免除に合意する余地があります。

 

任意整理でカットできる利息とは

・経過利息

貸金業者と最後の取引があった日から、和解成立日までに発生する利息です。

任意整理の場合、和解締結までには二、三カ月程度、長ければ半年以上かかることもあります。この期間に発生する経過利息は弁護士会の統一基準に従って免除を前提に交渉しておりますが，債権者によっては将来利息は免除しても経過利息を付さなければ和解に応じないことがあります。その場合，依頼者と相談し納得できる金額で和解することがあります。

・将来利息

和解条約が締結された日から、借金を完済する日までに発生する利息です。

任意整理を行うと債務額が確定され、その債務額を元に返済計画を作り、貸金業者と和解します。和解締結日以降の利息分は確定した債務額に上乗せされませんし、支払う必要はありません。

 

・遅延損害金

返済期日に支払が出来なかった場合，その翌日から遅延損害金が発生します。多くの債権者が遅延損害金のカットに応じていますが，債権者によって対応はまちまちであり受任後の利息のカットには応じてくれても受任前の利息のカットについては応じてくれない債権者もいます。支払が滞ってから何年も経っている場合，遅延損害金の額もかなりの額にとなるため，任意整理以外の個人再生や自己破産も検討した方がいい場合があります。

 

任意整理で元本が減るケースも

基本的には利息のカットのみという話をしてきましたが、任意整理でも借金の元本が減るケースもあります。

 

借主が、過去に利息制限法に定められた上限金利を超えた金利を支払っていた場合、払いすぎた利息を元金に充当することができます。

この過払金が元本に充当され、元本が大幅に減額されるケースがあります。

 

過払金が元本の額を超えている場合は，超えた部分の過払金とその利息の返還を債権者に求めることができます。

 

任意整理は専門家に相談を

洋服には、依頼を受けてから作る「オーダーメイド」とあらかじめ型ができている「レディーメイド」という二種類があります。

 

借金の債務整理は、一つ一つオーダーメイドの服を作ることに似ています。

というのも、法律の事案というのは、基本的にすべての案件で性質が異なり、最適な解決方法も依頼者の状態によって異なってくるからです。

 

オーダーメイドの服を作るには、それだけ職人の腕が問われます。借金の整理も同じことで、最適な解決のためには、債務整理を得意とする法律家に相談するのが一番なのです。