借金問題が苦しくなり、自己破産や個人再生などの債務整理を行った人にはどの年齢層が多いのでしょうか?
2014年の調査から近年の債務整理の年代別の傾向を見ていきましょう。
20歳未満はゼロ、一番多いのは40代
債務者の世代別の割合は以下のようになっています。
20歳未満の債務整理者は破産、個人再生ともにゼロとなっています。未成年なので経済活動に制約があることや、まだ多くの人が親の経済力に頼っており、本格的な経済活動を開始していないことなどが原因と考えられます。
もっとも債務整理者が多い世代は破産・個人再生ともに40代でした。第2位は50代と、日本の経済活動の主戦力となって活発に働いている世代が中心となっています。
なぜ、債務整理者には働き盛りの世代が多いの?
特に40代~50代は、子供たちが大きくなってきて生活費や教育費が増える一方、肉体的には無理がきかなくなってきて、癌などの深刻な病気のリスクも増えてくる時期です。
また、社会的には、会社が業績不振などでリストラにあった際、目立つ実績やスキルがないと、なかなか条件の良い職場に転就職することが難しくなってくる世代でもあります。
そのため、家計を維持している人(夫や妻、あるいは双方)に病気や失業などのトラブルが生じると、生活を維持するのが難しくなり、借金が返済できずに債務整理を考える人が多くなると考えられます。
生活が安定してうまくいっている世帯も、決して油断はできません。自分の実績が世に認められ、経済力が豊かになると、大きな家を建てたり、新しく事業を興す決意をしたり、頼まれて知人友人の保証人になることもあるでしょう。若い時に苦労をしていた人の場合、我慢していた贅沢をしてみたいと、盛んな消費行動を行うケースも考えられます。
経済的に豊かになったがゆえの、こうした行動が、金銭トラブルの原因となることがあります。
自己破産と個人再生で、世代割合に違いはあるの?
個人再生の場合、60代になると手続きをした人は8.33%とぐっと減りますが、自己破産の場合は18.71%と引き続き高い割合を示しています。グラフで見てみましょう。
自己破産の場合は、30代~60代までの幅広い世代に、手続きをする人の割合が分散しています。しかし、個人再生の場合は、40代が中心で、働き盛りの世代の割合が大半を占め、60代の個人再生は少なくなっています。
これは、二つの債務整理手続きの性質に関係していると考えられます。
- 自己破産は免責により借金が帳消しとなる制度のため、無収入でも可能。
- 個人再生は、減額した借金を支払っていく制度なので、一定の収入が必要になる。
個人再生に60代以上が少ない理由
また、個人再生の最大のメリットは、「住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)」の適用を受けることで、ローンの残ったマイホームを守れることであるといわれています。自己破産の場合、マイホームは手放さざるを得ませんが、個人再生は住宅ローンを残したまま他の債務を大幅に減額できます。(借金が最大5分の1程度にまで減額されます)
30~50代の場合、まだ住宅ローンが多く残っている人が大半のため、個人再生によりマイホームを守ることができます。
ところが、60代以上となると、住宅ローンの大半、あるいは全額を完済しているケースが増えてきます。
個人再生の仕組みとして、住宅ローンの残債務額よりも住宅の価値の方が大きくなると、「大きな財産を持っている」と解釈されます。「大きな財産を守ったまま個人再生を行うためには、持っている財産の資産価値と同等か、それ以上の金額の借金を返済する必要がある」、というのが個人再生のルールです。そのため、借金の減額幅が少なくなったり、あるいはまったく減額されなくなる場合があります。
そのため、個人再生を選ぶうまみがなく、別の債務整理手段を選ぶ人が多くなると考えられます。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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