借金の滞納が続くと、貸金業者は強制執行により、給料差し押さえなどの手段に出てくることがあります。
差し押さえを回避することはできないのでしょうか?
また、貸金業者が任意整理中や任意整理後に強制執行をしようとした場合はどうなるのでしょうか?
強制執行は任意整理では停止できない!
債務整理には、以下の3つの種類があります。
・任意整理
・個人再生
・自己破産
このうち任意整理は、裁判外での私的な交渉による解決手段です。残りの二種類は、すべて裁判所が管轄する手続きとなります。
強制執行とは、債権者が裁判所に申し立てて、お金が返せない人の財産や給与などを差し押さえて、債権の回収を行う手続きです。つまり、裁判所を通す手続きである「個人再生、自己破産」の場合、裁判所が認めれば、強制執行を停止させることができます。
ところが、任意整理は裁判所を通さない私的な手続きのため、任意整理を行ったからといって、法律的に強制執行を停止できるわけではありません。
じゃあ、裁判所から支払督促がきたら、どうすればいい?
債権者からの催促の通知や連絡を無視していた人も、裁判所から支払い督促が来たら、仰天するに違いありません。このまま放っておくと、債権者は強制執行できる権利である「債務名義」を取得し、実際に銀行口座や給与、不動産などの差し押さえをしてくることでしょう。
支払督促が来たら、ただちに「督促異議申立書」を提出することで、業者が債務名義をすぐに取得してしまう事態を避けることができます。異議を申し立てることで、手続きは通常訴訟(裁判)に移行します。一般の人が一人で裁判の手続きをするのは大変なので、支払督促が来たらすぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
異議申し立てにより一時しのぎができても、業者から借金をしたことが事実なら、いずれは一括または分割で支払いをしていくしかありません。それができない場合、個人再生や自己破産などの手続きをとることになります。
裁判所から支払督促が来たら、任意整理は可能か
では、裁判所から支払督促が来たら、個人再生や自己破産といった手続きをとる以外に方法はないのでしょうか?
実は、債権者としては、音信不通のまま滞納を続けられている今の状態をなんとかしたくて裁判所に申し立てをするパターンが少なくありません。「借主に話し合いの場に出てきてほしい」という意図で申し立てを行ったのなら、弁護士を立てて任意整理の話し合いをすることにより、債権者は訴えを取り下げたり、裁判上で和解が成立する場合があります。
任意整理後に強制執行されるおそれはないのか?
任意整理の和解後に、支払いを滞納してしまった場合、強制執行されるおそれはないのでしょうか?
任意整理による和解契約の場合、債権者に債務名義を取得されるケースは通常ありません。ただし、支払督促や訴状が届いてから受任するケースでは裁判上で和解が成立します。その場合,債権者は債務名義を取得することになります。和解内容に反して延滞した場合、差し押さえのリスクはありますので十分注意が必要でしょう。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
北海道から沖縄まで全国とこでも飛び回り、お悩みを解決します。
モットーは依頼人の悩みを解決するだけでは無く、再スタートまでのトータルケアを事務所一丸になってサポートします。