最近ちまたでよく聞く「過払金返還訴訟」とはどんなものなのでしょうか?
借金の返済で利息を払いすぎている場合とは、どんな場合なのでしょうか?
利息制限法に基づく引き直し計算はなぜ必要なのでしょうか?
目次
利息の過払いってなに?
テレビCMや電車の広告で、「利息制限法の上限金利を超えて払いすぎた利息は、貸金業者に返還請求できることがあります。」などといった宣伝を見かけたことはありませんか?
そうは言っても、そもそも利息制限法の規定とはどんなものなのか、実際に自分の借金でも払いすぎているのかなど、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
債務整理をする際には、利息制限法に基づいた「引き直し計算」というものを行い、実際に借金残額がいくらなのかを調べてから、貸金業者と交渉します。
したがって、弁護士などの法律家に任意整理を依頼すれば、引き直し計算をしてくれます。
とはいえ、その前に、引き直し計算とは何なのか、どうして法律の上限金利を超えて払ってしまうようなことが起こったのか、理解を深めておきましょう。
利息に関する二つの法律
そもそもなぜ、以前は利息制限法の制限を超えた金利が認められていたのでしょうか?
日本では、利息制限法という法律が、キャッシングの上限金利について定めています。
貸付金が10万円未満→年率20%
貸付金が10万円以上100万円未満→年率18%
貸付金が100万円以上→年率15%
ところが、2010年に貸金業法が改正されるまで、ほとんどの貸金業者がこれを超える金利で貸し付けを行っていました。
何故かというと
一つには、利息制限法には罰則がなかったからです。
二つ目の理由は、利息に関してはもう一つ、「出資法」という法律があり、その規定と、利息制限法の上限金利の間にずれがあったからです。
出資法の上限金利では、
個人間での貸し付け→年率109.5%
貸金業者による貸し付け→年率29.2%
と定めており、これを超えた金利でお金を貸し付けると、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこの併科」という罰則が科せられました。
したがって、ほとんどの貸金業者は罰則のない出資法の上限金利でお金を貸し付けてきました。
「利息制限法違反だが、出資法の上限金利には違反していない金利」はグレーゾーン金利と呼ばれています。
※2010年に出資法が改正され、現在は出資法の上限金利も利息制限法と同じく20%となっております。したがって、現在は20%以上の金利で貸し付けることは二つの法律に違反することになります。
みなし弁済規定とは
かつて、貸金業規制法では、グレーゾーン金利は違法・無効としつつも、一定の条件を満たす場合に限り、貸金業者がグレーゾーン金利を受け取ることを例外的に認めてきました。(みなし弁済規定)
その一定の条件とは、以下の五つを全て満たしていることです。
(1)貸主が貸金業登録業者であること
(2)借主が利息制限法を超える約定利息であると認識して支払ったこと
(3)借主が利息制限法を超える約定利息を任意で支払ったこと
(4)業者が貸付を行う際に,貸金業規制法17条で定める書面を交付していること
(5)業者が弁済を受ける際に,貸金業規制法18条で定める書面を交付していること
しかし、実際のところ、借主の多くは二つの法規制が存在するなどと知らないで借りていましたし、高い金利でなければ借りられない事情があって借りている場合がほとんどです。とても「任意に」利息を支払ったとはいえません。
みなし弁済規定が適用されるには、このように、厳しい条件を満たす必要があったのですが、それにもかかわらず、実際にはみなし弁済が横行していました。
最高裁がグレーゾーン金利は無効だと判決
最高裁判所は2006年に、利息制限法の上限利息を超える利息を支払うことが事実上強制される場合には、「任意」に支払ったとは言えず、有効な利息の支払とみなすことはできないと判断しました。(みなし弁済は無効)出資法に基づく29.2%の金利を受け取ることを認めないとしたのです。
以来、貸金業者を取り巻く法規制は大きく変わり、グレーゾーン金利は撤廃されました。利息制限法違反の金利による利息分に関しては、過払い金として借金の元本から差し引いたり、元本を充当してもなお払いすぎているようであれば、貸金業者に過払い金の返還を請求できるようになりました。
専門家に依頼して引き直し計算をしてもらおう
引き直し計算とは、上のような経緯に基づき、債務者が貸金業者に利息制限法の上限金利を超えた利息を払っていた場合、法律上認められた利息の上限額で計算し直して、過払金を元本に充当する計算です。引き直し計算は、弁護士や司法書士に依頼すれば専用のソフト等に打ち込むことで算出できます。
過去の取引履歴や明細を紛失していた場合は、貸金業者に取引履歴の開示請求を行い、正確な金額や日時を把握する必要があります。
こうしたことから、引き直し計算は弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
所属弁護士会 東京弁護士会 No.44304
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